2018年6月14日木曜日

2018/06/14 もやい通信 第12号


もやい通信 第12号

The Moyai Communication No.12

特定非営利活動法人エヌピーオーもやいは、障害の有無にかかわらず、 みんなが地域でいきいきと生活することを応援する団体です。

2018/06/14

会員、スタッフのみなさん、いつもありがとう。今日は新型インフルエンザについて、お話します。

特定非営利法人理事長エヌピーオーもやい 理事長 松山 毅
本年もエヌピーオーもやいの総会を迎える事が出来ました。これも一重に、会員の皆様、そして、献身的に仕事に従事 して下さっているスタッフの皆様のおかげです。皆さんどうもありがとうございます。それに引き換え、理事長として会 報発行や、イベント等滞っている部分がたくさん存在している事に対して大変申し訳なく思っております。出来る限り、 改善をしていきたいと思いますので、今しばらくご容赦下さい。さて、お詫びと言っては何でございますが、本日は、会 員のみならず、多くの方が関心を持たれている、新型インフルエンザに関しての情報提供をさせていただきたいと思いま す。参考にしていただければ幸いに存じます。

                新型インフルエンザについて
1)インフルエンザとは:インフルエンザとは、インフルエンザウイルスという病原体による感染症です。感染症を起 こす病原体は、主に細菌、寄生虫、ウイルス等があります。細菌や寄生虫が、細胞という生物としての骨組み構造を持っ ているのに対して、ウイルスというのは、細胞を持たず、遺伝子を中心構造とする粒です。生命とも物質ともいえる、非 常に中途半端な病原体です。細菌や寄生虫が、人間にとりついて、自分の細胞や体をじっくり増やしながら病気を起こす のに対して、ウイルスは、自分の遺伝子情報を人間の細胞内の遺伝子の機能を利用して、たくさんコピーさせ、凄まじい 速度で増え、人間の細胞を破壊していくのが特徴となります。しかし、ある程度増えますと、人間の体が反応し、ウイル スを不活性化させるようになり、最終的には、自然に治っていきます。インフルエンザも全く同じで、基本的には自然治 癒する病気です。この経過は、新型も従来のインフルエンザもほぼ同様であると考えられます。

2)インフルエンザの特徴:このウイルスは鳥、豚、人間の間で流行します。この中で、豚は鳥のインフルエンザウイ ルスにも、人間のそれにも感染します。ウイルスは、基本的に遺伝子の小さな粒です。細菌や寄生虫は多種のそれらと出 会うと、お互いに生存競争を始めてしまい、共倒れになってしまう事もあるのですが、ウイルスは豚の体の中で、鳥にくっ つきやすいもの、人間にくっつきやすいもの、豚にくっつきやすいものが、容易に混ざりあい、各々の特徴を併せ持っ た新しいウイルスが誕生してしまう事があります。それが、今回の新型インフルエンザH1N1なのです。しかし、これは特別な事でなく、この100年間の間に同じ様な事がスペイン風邪、ソ連風邪、アジア風邪、香港風邪等として何回か世界 流行を起こしています。

3)インフルエンザウイルスの感染の仕方:インフルエンザウイルスは、遺伝子とそれを包む膜を持っています。大雑 把にいうと、この膜の表面のトゲトゲと、動物の細胞表面のブツブツの形がぴったり合った時、ウイルスは細胞内に侵 入し、自分の遺伝子を細胞にコピーさせ増殖し、最後には細胞を破壊して飛び出してきます。このトゲトゲとブツブツの 構造が、鳥、人、豚で少しずつ異なっております。ですから、通常は、それぞれの動物の細胞に合ったインフルエンザウ イルスが、それぞれの動物間でしか感染を起こさないのですが、時に混じり合い、新しいウイルスとして人間に大流行し てしまうのです。また、一般的には、インフルエンザウイルスは、鼻やのどの粘膜で増殖し感染症を起こしますが、毒性 の強いウイルスや、感染した 人 の体調によっては、いきなり肺で増殖をして、重度の肺炎を起こしてしまう事もありま す。

4)免疫と流行:さて、このようなウイルスでも、通常は 人の免疫力で不活化性化され処理されます。この免疫は、ウイルスの膜の形を記憶する事等で、そのウイルスに一度かかれば、二度とかからない抵抗力を身につける原動力になり ます。しかし、インフルエンザウイルスは、混ざり合い等により少しずつ変化するので、今年のインフルエンザの免疫が、 来年のウイルスに効果的とは限りません。そのため、毎年のようにインフルエンザが活性化しやすい冬場に流行してしま います。特に今回の新型インフルエンザのように、全く新しいインフルエンザウイルスであれば、 人の免疫がすぐには
対応できず、大流行をしてしまいます。一回の流行が終わるためには、人口の6割以上の 人 が免疫を持つ必要が有ると言 われております。逆に言えば、そうなってしまえば、新型インフルエンザではなく、普通のインフルエンザになり、今の様な世界的な広がりはなくなります。また大流行するためには、ある程度死亡率が低いウイルスである必要があります。

強毒性といわれる鳥インフルエンザH1N1が、局地的には 人 にも流行していますが、世界中に流行していないのはこのためです。現在鳥インフルエンザは、人間が罹患すると50%以上の 人 が重症化します。 人 が死亡したり、動けなくなってしまい、結局 人 同士で移し合う機会がへってしまうのです。一方、毎年のインフルエンザの死亡率は、 0.05%程度、スペイン風邪の死亡率は2%程度と言われております。死亡率が低いため、軽症の 人 の移動があり、世界中でバラまいてしてしまうのです。2%という死亡率が著しく低いというつもりは有りませんが、かかれば立ちどころに死んでしまうような病気ではなく、大流行する限りにおいては、むしろたいていの 人 は最後には自然に治ってしまう病気で有る事も事実です。  

5)予防と治療:どの方法も完璧なものはありません。しかし、手洗いは、医学的にある程度の予防法と評価できる証拠があります。マスク着用は、咳をしている 人 の近くにいた場合は有用です。これら手洗い、咳エチケット等は誰で も出来る予防法として重要です。ワクチンは、予防法としては完璧では有りません。ただし、接種しないよりもした方が 感染率が低い事、インフルエンザに伴う肺炎の死亡率を下げる事は知られております。従って、インフルエンザにかかっ て重症化しやすい 人、幼児、高齢者、妊婦、腎臓・心臓・肺の病気を持っている 人、免疫力が低下している 人 には重要 な処置です。タミフル等の抗ウイルス剤は、病気を治す薬では有りません。これらの薬は、ウイルス表面のトゲトゲが、 細胞のブツブツにくっつかないようにする事で、ウイルスのコピーを作らなくする薬です。つまりウイルスの増え方を穏 やかにして、結果として軽く済ませようという薬です。病初期に使わなければ意味はなく、またタミフルが効きにくいウ イルスも存在します。ですから、何が何でもタミフルと言う事でなく、毎年のインフルエンザも新型も、重症化しにくい 健康な方の基本は、 充分な栄養、水分補給をし、 安静にして自然治癒と言う事になります。 国際的には、このような経過観察法が推奨されています。 最終的に治すのは 人 の免疫力なのです。

 6)新型インフルエンザ 私の考え:新型であっても、基本的な特徴はいつものインフルエンザとして共通しています。 従って、いつもより少し余計に注意する程度で問題ないと思います。流行時期には、手洗い、咳エチケットを実行し、無 理をしないで、体力温存をする事が何より大切です。これは、流行を阻止しようというよりも、重症にならないような工 夫です。タミフルや、今後出来てくる新型インフルエンザワクチンは、完璧な方法でありませんし、供給量が不充分になっ てしまう可能性もあります。従って、これらの薬による治療や予防は、重症化しやすい方優先にして、死亡率をより低下 させる事に力を注ぐべきだと思います。勿論、副作用の問題も有りますので、重症化しやすいからといって無制限に使わ れるべきでもありません。焦らず、落ち着いて治療薬、予防薬の適応をしぼっていく事で、死亡率や重症化率を減らす目 的が果たせると思います。

 7)もやいと新型インフルエンザ:わいわいてい利用者の皆さんや、障がいのある皆さんの中には、重症化の懸念の ある方々もいらっしゃると思います。また流行時期には、スタッフも罹患し欠員も出る可能性が高いと思います。現在、 流行期の体制については検討中ですが、利用者のご家族様にご支援いただく必要もあるかもしれません。今後、この件 については、利用者さん、ご家族様等とも随時情報交換をし、一緒に考えていきたいと思います。また、障がいのある皆 様が在籍される福祉関連施設等に対して、自治体がどのように応援してくれるのか、早速問いかけていきたいと思います。 会員の皆様、スタッフの皆様におかれましては、この件に関しまして、ご協力、ご理解、そして何よりご意見を賜ります ようお願い申し上げます。


もやい通信 第12号 The Moyai Communication No.12 2018/06/14

特定非営利活動法人エヌピーオーもやい 東京都品川区西大井4-22-6 電話/FAX 03-5709-5587

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